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2017-12-25

Nevado Mismi(5,597m)とNevado Coropuna(6,425m)への一人旅

    しばらくの間、blogをアップしていませんでしたが、単に忙しさを理由にしていただけでした。既に師走も残すところほぼ一週間となりましたので、今年の海外における活動を少しだけ記述しておきたいと思います。とはいえ、以下の文章の殆どは、ご支援、ご声援をいただいた皆様に発送した「報告書」の「はじめがき」から抜き取った以下の内容です。

    ⁂ 「報告書」にご興味がある方は、2018年1月8日までにご連絡ください。提供させていただきます。電子媒体でのクラウドの都合で、人数に制限がありますので、早目にご一報いただければ幸いです。

    タイトルは、『 マウンテンバイクと高所登山を組み合わせた⁼⁼⁼AROUND SEVENTYの一人旅 ⁼⁼⁼ ~ アンデスの山々を越え、アマゾン川最遠源流を辿る冒険旅行の完結編 ~ です。 

    チョット長いですね・・・

    簡単に言えば、マウンテンバイクと高所登山を組み合わせた旅で、アマゾン川最遠源流のNevado Mismi(5,597m)とNevado Coropuna(6,425m)を今年8月(August 2017)に登ったということです。 
    • Nevado Mismi- The source of the Amazon River

    • Nevado Coropuna - The highest volcano in Peru

    さて、私、相澤篤は、これまでアンデスの旅を続け、アマゾン川源流の山々の素晴しさを体感しています。そして、2017年8月に「アンデスの山々を越え、アマゾン川最遠源流を辿る冒険旅行の完結編」となるマウンテンバイクと高所登山を組み合わせたAROUND SEVENTYの一人旅を実行しました。

    アマゾン源流に関わる旅は、2011年2月、東日本大震災発生直前、エクアドルの旅から開始しました。そこからの帰国一ヶ月後に発生した大震災の震源地は、私の故郷、宮城県沖でした。自然への思いを更に深く感じた時期です。

    さて、旅のテーマ、アマゾン川(ポルトガル語 : Rio Amazonas、スペイン語 : Río Amazonas、以前は Rio Orellana)は、南米のブラジルとその周辺国の熱帯雨林を流れ、大西洋に注ぐ世界最大の大河であることは、広く知られています。流域面積は、ベネズエラ、スリナム、仏領ギアナ、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビアにまたがり、オーストラリア大陸の面積(705万km2)に匹敵する程広く、様々な数値(580万~750万km2)が伝えられていますが、世界2位コンゴ川の(370万km2)と比べれば、突出しています。その支流は、1,100を越え、その熱帯雨林は、世界の熱帯雨林の約半分に相当し、世界二酸化炭素のの 1/4 を酸素に変えています。地球の水資源の宝庫と言われる所以です。


    今回の報告書では、アマゾン川最遠源流を辿った様子を記述しますが、その流域の広さもあって、20世紀になっても源流がどこにあるのか確認されていませんでした。また、その長さについては、例えば、2007年6月22日の共同通信の報道では、ペルー南部のボリビアやチリ国境近くにあるミスミ山 (Nevado Mismi、5,597m)の奥深くで新たな源流が発見され、アマゾン川の全長は400kmも伸びて 6,800 km となりナイル川(6,650 km ないし 6,695 km)を超えるとの説を伝えていました。続いて、2008年7月3日のアマゾン川とナイル川の衛星写真を比べるとアマゾン川の長さは6,992km になりナイル川よりも長いと伝えています。現在は、1971年のナショナルジオグラフィック協会などによる調査結果が最も遠い水源と考えられ、河口のマカパまでは6,400kmとされ、日本の理科年表でも6,400kmが採用されています。一説には、6,800㎞の主張もあります。なお、日本で最も長い川は信濃川で、367㎞です。今後も様々な主張があるかもしれませんが、後述するように、ミスミ山北面の岩壁から噴き出した水がカルアサンタ川(Carhuasanta)からアプリマック川(Rio Apurimac)へ、そして、2015年に辿ったマラニョン川(Río Marañón)と合流し、アマゾン川となって大西洋へと流れ込んでいます。私は、幸いにも、その頂を踏み、その景観を楽しむことができました。
         

    その後、ミスミ山と同じく火山地形に聳えるペルーにおける火山の最高峰・コロプナ山(Nevado Coropuna、6,425m)へと向かいました。私は、雄大なアンデスの分水嶺を中心に活動する中で、地球の愛おしさを体感する旅を継続しています。これまでに、非火山性山脈にあるアマゾン源流部のアンデス山脈を徒歩とマウンテンバイクで踏破してきました。今回は、火山地帯でした。その頂は南緯15度31分、西経72度39分に位置しています。南回帰線は、南緯 23度27分ですので、南半球における熱帯と温帯をほぼ区分する界線の内側になります。とは言え、標高6,000mを越えることから、氷河に覆われています。アンデス山脈はベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリの7カ国にまたがっており、最高峰のアコンカグア(6,960m)等の6,000mを越える高峰が20座以上あります。近年、氷河は急激な縮小傾向が見られ、ペルーでは1970年以降2014年までに氷河の40%が失われたとの報告があります。事実、これまでに幾つか登った山では、過去のルートを変更せざるを得ない状況を体験しています。勿論、氷雪の山々が好きな私ですので、世界で 2 番目に大きい熱帯Ice Capのコロプナ山の頂からも興味深い景観を堪能しました。

    そして、今回も人間の暮らしの視線とスピードにより近いマウンテンバイクに乗りながら、現地でたくましく生きる人々と交流し、かつ、アマゾン川最遠の源流点や地球の胎動を感じる火山など、日本では味わえない大自然を辿りましたので、その様子を皆様にお伝えします。

    今回、実は、静かに出国し、静かに帰国する毎回の旅のパターンを変えました。私はいわゆる団塊の世代ですが、人は齢を重ねても自分なりのチャレンジができると信じて、それを多くの皆さんに知っていただきたくて、4月~5月の1ヶ月間、クラウドファンディングに挑戦しました。実際には、経済的なご支援というよりも、多くの皆さんに知っていただき、一緒に楽しめればと思って始めました。旅では、ご支援していただいた皆さんの名前を染め抜いたフラッグをザックに括り付けて走ることにより、不思議な推進力を感じることができました。幸いにして、多くの皆さんのご支援・ご声援をいただき、無事に挑戦を終えました。帰国後、ワークショップ形式での報告会を開き、その姿が、誰かの勇気になったとのお話も伝え聞き、大変嬉しく感じることになりました。

    誰かの勇気になればということが一つの目的でしたが、その一方で、私のチャレンジを事前に知ったのか否か分かりませんが、「バックパッカーチャリダー」なる男性が、6月中旬にアマゾン源流・ミスミを目指し、その結果をネットで報告していることを事後に知りました。ネットで多くのことを知ることが出来る時代です。多分、3月までには、私の計画を知ったのかもしれません。国内で情報収集に四苦八苦した私ですが、彼は、今回の私とは別のルート(旧ルート)で、地元のガイドを雇って向かった様です。とはいえ、ミスミの頂は踏んでいませんし、また、彼がネットで記述している幾つかの情報が憶測になっているようです。情報化時代の流れを感じながら、何時か彼とお会いできる機会があればと思っています。勿論私も、ミスミについて、2008年4月と2014年7月にそれぞれ海外から発信した二人の冒険家による報告を参考にさせていただきました。

    なお、多くの皆さんにご支援いただいた他に、3の企業からのご支援がありました。その中で、昨年、12月にモンベルのご支援を確定していただいていました。それは、チリ・ボリビア国境~ペルーを辿る42日間から大幅に短縮して確実に実行可能な7月28日から8月29日までの計画でした。それが、今年に入って、ガイドの都合等諸般の事情から延期するしかないと考える時期がありました。その後、ガイドやルート等の再検討をし、大幅に計画を短縮することとしました。しかしながら、昨年の計画を大幅に変更することは、ご支援していただく企業との約束に背くことになります。有難いことに、短縮しても支援していただけるとのモンベルからの回答があって勇気づけられた経緯があります。そして、結果として、8月5日から8月29日のチャレンジを完遂ことができました。

    国内における私は、トレッキング・ネイチャーガイドの活動をしています。この大切な地球があるから、私の大好きな山があり、川があり、そこに住む人々の明るい顔があり、そこで生きる動植物との出会いがあります。そのような思いを込め、この報告書をお届けします。
                                《相澤篤(Atsushi Aizawa)》

    今回の話題については、下段URLのインタビュー記事にもあります。
    https://smtrc.jp/otonamirai/vol20.html
    また、今回ブログに書いた内容については、別途、『報告書』として、支援者の皆様へ提出しています。報告書にご興味があれば、提供可能です。より多くの皆さんが元気になる参考になれば幸いです。 では、また。