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2016-04-03

③ 《料理の話題》太平洋岸からアンデスを越えアマゾン川源流までの旅

さて、ひたすら走り、歩き、登る活動を支え、体調・体力を維持した『食』の話題とします。海、山、川、そして、熱帯、砂漠、高地、寒帯に類する多様な気候・風土をたどったルートでは、洗練されたホテルやレストランでは味わえない独特の食を堪能することが期待されました。
旅は、太平洋岸の町、チンボテからスタートしました。

(遠くに見えるチンボテの海は漁船で埋まっていました)


しかし、そのチンボテでは、海産物の食を堪能する程の時間的な余裕はありませんでした。太平洋の食材については、すべての活動を終了して、首都のリマへ戻ってから、つかの間の堪能だけでした。そのパターンは、前回の旅と同じでしたが、既に、メニューは脳裏にありましので、楽しみを持って自転車を進めました。

(リマなどの都市では海産物の豊富な料理を味わえます)
 

ペルーは、旅行業界のアカデミー賞といわれる「World Travel Awards」で「世界最優秀グルメ観光地賞」を連続して受賞している国です。海産物は豊富で、日本をはるかに上回る世界有数の漁獲量・生産量を誇りますので、新鮮で美味な料理を多く味わえます。勿論、今回も日本人観光客に人気の魚介類をふんだんに使用し、マリネ、たたき風、もしくはそのまま生で食べるCevicheも食しました。美味しいです。でも、一つご注意を、レストランで出される料理の盛りですが、女性にとっては大きなボリュームの場合が多いと思います。例えば、友人と一緒に行くとなれば、二人で分け合うような注文の仕方が良いかと思います。兎に角、”Estoy satisfecha”との言葉を越える満腹感を覚えるかと思います。
ペルーは、世界に存在する32気候のうち28種類(?)をも有している国です。今回、コスタ(海岸部)、シエラ(アンデス山岳部)、セルバ(アマゾン地帯)という3つの異なる自然環境の地域を走り抜けましたが、何と言っても「腹が減っては戦が出来ず」ですので、食事が一番の楽しみだったかもしれません。

(乾燥した道)⇒(氷河を抱く山裾の道が続く)⇒(アマゾン川上流の村へ突入)
  

海産物、農作物のバラエティーに富む食材を確保出来る国です。アンデスの山をたどれば、標高4000mを越えても、どの山肌も果てしない牧場のようなもので、牛、羊、豚、鶏等々の家畜、アマゾンの川は名も知らない淡水魚、氷河湖を覗くとマスがいます。人間は、何でも、食材にします。写真は、アンデスの4800m程の峠を越えて辿り着いたアマゾン川支流のYanamaという集落(町?)の民家の庭で草を食んでいたモルモットです。可愛い動物です。実は、私のサラリーマン時代は製薬会社勤務で、その前半は研究員としてモルモットも扱っていました(後半は、人間対象の「治験」関連の仕事で、独立した現在も続けています)。実験動物の供養塔に手を合わせて罪滅ぼしする立場ですが、モコモコした写真の主人公は食材です。「とても食えないよ~」と言いつつ、実は、旅の後半に町へ降りてから食べてしまいました。「クイ/Cuy(Chactado)」という料理に変身します。美味しいです。「人って、何でも食べてしまうもんですね~」などと、他人事のように言ってしまう私です。やっぱり、人って、ご都合主義ですね。「モルモットさん、ありがとうね」と手を合わせました。

(ありがとう! 美味しかったです)
 

旅先では、氷河の惠を人々が楽しんでいる光景にも出会いました。アマゾン川上流の支流の町、Chacasでは、写真のように氷河から切り出した氷にシロップをかけて女の子たちが美味しそうに頬張っていました。

(氷河の裾を縫ってかけぬけると、その惠は様々でした)
 

        

ところで、ジャガイモ、トマト、カボチャ、トウモロコシ、ピーナッツなど、世界で常食としている食物の20%がペルー原産といわれています。ジャガイモは、一説には2000種類以上と伝えられるように大変多くの種類がありますが、18世紀の飢饉によるドイツの人々の窮地を救った作物です。料理は代表的なPapa a la huancainaなど「パパ」がつきます。チーズソースの「ワンカイーナ」が代表ですが、旅の後半に通ったChiquianは、チーズが美味しい町でした。また、様々な料理で多用されているトウガラシもペルー原産です。今回は、紙面の関係で割愛しますが、珍しくて、美味しい作物、果物にも出会いました。欧米や日本で、健康食品として人気上昇中の作物、NASAが宇宙食に採用した「キヌア(Quínua)」は、主に標高2500m以上の高地で栽培されています。これもアンデス原産です。タンパク質に富み、鉄分、カルシウム、植物繊維、ビタミン類が豊富で、栄養のバランスに優れた完全食品としてインディオの人たちに食べ継がれてきた作物です。
豊富といえば、勿論、私の好きなビールやワインも結構イケマスヨ! でも、高所で活動する間は一切呑みませんでした。一旦、ブランカ山群の中心の町(リマの北約420kmに位置し、標高3052m)へ降りた際も自重して、インカコーラやお茶を飲んでいました。特に、地元の皆さんは、テーブルにインカコーラを置いて、アルコールを呑む姿に出会うことはありませんでした。なお、町には豊富に品ぞろえしたマーケットもあって、カップヌードルも置いています。高山病に効くお茶と言われるコカ茶は、スーパーマーケットで売られていますが、「コカの木の葉」を使用したお茶ですので、海外持ち出しは、多分禁止のはずです(最近、確認していませんが・・・)。
 
(掌にあるのは、どれもがジャガイモです)   (Chiquianの町はチーズが美味しい)
(掌のパパ:左上から、ワイチューロ、モラーダ、ペルアニータ、アマリーヤ、ワイチューロ、ライロらしいのですが・・・)
 

勿論、先程紹介した町、ワラスの中心には整備された市場がありますが、街はずれで定期的に開かれる青空市場も物量豊富です。何と、アンデスの麓で、魚もさばいていました。ワスカランも見えるし、楽しい市です。
 (ワスカランがよく見えます)     (オジサンのさばき方は上手でした)
  
 (ジャガイモ等の野菜は豊富)  (果物も豊富)      (肉屋さんもあります)
   

ところで、旅の殆どはテント泊でしたが、途中の標高4000mを越える氷河湖で自転車やテントを運んでくれた馬方さん(ドンキードライバー?)がマスを釣ってくれました。空缶に釣り糸を巻いて持参していたのですが、大きいのを釣ってくれました(カメラが壊れて写真はありません)。湖から流れる川では、小さいマスしか釣れませんでした。夕食に早速食べましたが、美味しかったです。

 

  

記述するのが、少し息切れしてきましたので、町のレストランでは食べることが出来ない料理を紹介させていただきます。アンデスの伝統的料理パチャマンカ(Pachamanca/大地の鍋)です。
大地にあけた穴に焼石を入れ、その上に数種類のジャガイモ、そらまめ、肉などの食材を置き、草木や土で蓋をし、蒸し上げる料理です。インカ時代から受け継がれた大地を鍋にした伝統料理です。
ベロニカVeronica)さんの敷地にある畑の一角で、料理の過程を屋外で見物しながら食すことができた一時はラッキーでした。彼女は、昔、田部井さん等の日本人をワスカランに案内したガイドでした。いまは、エージェントとして活躍していますが、小柄な女性で、穏やかな人でした。現地のInoueさんが氷雪の6000m峰に登った後の打ち上げとして様々気遣ってくださったこともあり、バイクと山を終始ガイドしてくれたAgripinoさん、そして、寒いテント生活の旅の途中や高所登山のキャンプでも美味しい料理を作ってくれたKeneyさんがワラスの良い思い出をつくってくれました。

(前列左からAgripinoさん、Keneyさん、Veronicaさん /Veronicaさんの自宅敷地です 
  

  

   

    

もっと様々紹介したいのですが、続きは今日とさせていただきます。
最後は、単なる話題です。「世界三大果実 」と云われる【チェリモヤ】【マンゴー】【マンゴスチン】はトロピカルフルーツです。「森のアイスクリーム」とも称されるチェリモヤは、自転車の旅の途中で味わいました。
 
話題を、もう一つ。食だけではないのですが、リマ・「お宿アマンカイ」(太田家)、太田ご夫妻による心温まる食事のご歓待は、嬉しく、楽しい一時でした。日本食です。長い旅を終えての日本食は、美味しかったです。お刺身は当然ですし、加えて、和風の餃子も美味しかったです。ワインをいただきながら、夜遅くまでお付き合いいただいた時間は、旅の疲れを吹き飛ばしてくれました。ペルーを訪れた多くの登山家等が、太田家を話題にする理由が分かります。

次回は、花や野鳥、人と歴史などをまとめてみます。では、乞う、ご期待を!